大学教員インタビュー

後藤 広史准教授

後藤 広史准教授
貧困・ホームレス問題、生活困窮者の「自立」支援

研究内容

貧困状態にある人々、特にホームレス状態にある人々に対する支援にまつわる理念や方法について研究をしています。この領域に関心を持ったのきっかけは、学部4年生の時に行ったボランティア活動でした。そこで見た光景の非日常性や、社会福祉制度が掲げる理念と現実とのギャップに心を惹かれ、この領域の研究をするようになりました。研究を進めていくうちに、貧困問題はすべての社会福祉の問題の根源であるとの認識に至り、当時の関心を今も持ち続けて研究をしています。

現在行っている研究は大きく分けて2つです。
第一は、具体的な支援のフィールドに入り、そこで得られたデータを利用して現状を分析し、それを踏まえて支援の在り方を検討する研究です。具体的なフィールドとしては、ホームレス自立支援センターなどの機関や、いわゆる寄せ場(特に「山谷」)などの地域をベースに研究をしています。
第二は、ホームレス状態にある人々の現状や支援システムについての国際比較研究です。具体的な比較対象国はアメリカで、マイアミやフィラデルフィアの研究者と共同して研究を進めています。

主な研究業績は以下の通りです。
「ホームレス状態からの『脱却』に向けた支援-人間関係・自尊感情・『場』の保障」
(単著)明石書店 、2013年。
「ハウジングファーストの効果検証に関する研究―日本におけるホームレス支援の新たな可能性」
(共著)『貧困研究』 (23)、2019年。

研究指導

担当する「ソーシャルワーク研究」という科目では、貧困・生活困窮(者)というテーマをベースとしつつ、受講生の関心に合わせて書籍の輪読や論文の精読をしています。また、それらを通して得られた知見を踏まえて、受講生の論文のテーマの精緻化を図っています。論文のテーマは、学生それぞれが大事にしていることの表れであり、これがどう設定するかが良い論文を書く鍵となるので、それをうまく言語化できるようサポートすることを心がけています。

実践的な取り組み

上でも述べたように、学部時代から「山谷」と呼ばれた地域とそこで支援活動行っているNPOに関わってきました。実際にそこに住む人々や、NPOのサービスを利用する人々に調査を行って論文を書いてきました。そこでの調査は、約束した時間にインタビュイーが現れないなど計画通りにいかなかったりすることも多く、調査のテキストには書かれない様々な困難があります。ですが反面、だからこそわかる調査の楽しさや奥深さを知ることも多いです。コミュニティ福祉学研究科で学ぶ学生は、関わり方の濃淡はあれフィールドと接点を持ちながら研究をする人が多いと思います。社会福祉の現場で調査することの具体的な方法やそこで求められる姿勢といった点についても、自身の経験を通して伝えられたらと思います。

受験生へのメッセージ

自身の関心・実践を研究の俎上に載せ、それを文章にしていくことは大変なことではありますが、その成果は社会に還元され、社会福祉の向上につながります。また社会福祉の研究をすることは、自分自身のキャリアや思想を見つめなおすきっかけにもなると思います。
コミュニティ福祉学研究科への入学をお待ちしています。