大学教員インタビュー

杉浦 克己教授

杉浦 克己教授
スポーツ栄養学 フィットネス

研究内容

私が小学生の頃になりたかったのは生物学者でした。そのため、大学は理学部の生物学科に進み、粘菌という生物の発生の研究をして修士課程(現在の博士前期課程)まで進みました。しかし、基礎生物学的な研究にあまり面白味を感じられなかったことと指導教員の勧めもあって、博士課程(現在の博士後期課程)には進まず、食品企業の研究所に就職しました。そして3年後に本社に転勤になり、プロテインなどのスポーツ食品・スポーツドリンクの開発と、アスリートに栄養指導して競技力向上を支援する仕事に就いたのです。この仕事に20年間従事しました。途中、36歳の時に、自らスポーツ栄養学の実験的研究を行う必要が生じて、体育・スポーツ系の大学院博士課程に入学し、41歳で博士号を取得しました。そして縁あって、50歳の時に立教大学の教員になりました。
このように、私は生物学者になろうとして挫折し、企業に23年間勤務する中で、現在に至る研究の方向性が定まっていったのです。

現在は、主に以下の2つの方向で研究をしています。
1.栄養支援の実践と支援法の確立
アスリートの栄養指導の経験をベースとし、立教大学の学生および子どもから高齢者までの幅広い世代を対象として、生活実態と栄養摂取状況を多角的に調査し、それに基づいた栄養支援・運動支援を実施しています。例えば、新座市の健康づくり推進協議会の副会長として住民の健康づくりに関わり、学部の震災復興プロジェクトの一員として東日本大震災の被災者の健康づくりを行ってきました。また、アスリート対応では、日本陸上競技連盟、全日本柔道連盟、日本アイスホッケー連盟、そしてJOCの委員を歴任し、現在は日本バレーボール協会のニュートリションユニット長を拝命して活動しています。
2.食品・サプリメントの研究開発
スポーツ食品の開発に携わっていた経験から、アスリートの身体づくりを助ける食品やそれだけを食べれば必要な栄養素が全て摂れる『万能パン』などの開発などを行い、企業に提案も行っています。これらの食品を実際に摂取したときの効果を、体組成の変化や血糖値などの生化学的指標から明らかにする取り組みもしています。

【論文】

  • 杉浦克己ほか: インターハイ陸上競技入賞選手の体調・食生活に関する8年間の調査(短報)~サプリメント摂取、スポーツ障害および体調・食生活に関するプロジェクト調査より~. 『陸上競技研究紀要』第9巻, 20-24, 2013
  • 杉浦克己: パフォーマンスを上げる食事,栄養の話. 臨床スポーツ医学, 34: 294-300, 2017
  • 杉浦克己: ダイエットフィットネス科目を履修すると学生の体組成は好ましい状態に変化する. 立教大学コミュニティ福祉学部紀要22号, 43-52. 2020

研究指導

私は、自分自身が修士課程のときに進学せずに就職した経験もあって、研究することに強い意欲をもっている人でない限りは、大学院に進学することを勧めません。早く社会に出て働くことのほうがいい場合がありますし、また、働くうちに研究意欲が高まって大学院に進んだ人がいい研究をする場合もあるのです。このように考えているので、これまで4年生の卒業論文は45名ほど指導したのですが、その後に大学院に進学した学生は、そのうちの3名だけです。ただし、進学した学生には徹底的に論文を読んでもらって、自分の研究分野で総説を書いてもらい、研究結果も必ず学術論文などのアウトプットをしてもらいました。なお、博士後期課程の学生は立教大学では受け持っていません。企業に勤めていたときに指導した経験はあります。

受験生へのメッセージ

私が受け持った博士前期課程の修了生3名は、いずれも企業に就職しました。アミノ酸摂取と持久力向上について研究した修了生は製薬メーカーに、ダイエットとボディイメージを研究した修了生はテレビショッピング企業に、アスリートの栄養支援によるパフォーマンスの向上を研究した修了生はスポーツクラブ運営企業にそれぞれ就職しました。大学院での毎日の生活で、専門的能力および論理性を身につけていますので、それぞれの企業内で若手のリーダーとして働いています。
スポーツ栄養学関連の研究によって、人々の健康づくりに貢献することに喜びを感じる方に、受けてもらえれば幸いです。